孤独な両手が生み出す切なくも美しいファンタジー
「シザーハンズ」
の魅力を解説(ネタバレなし)

監督 ティム・バートン
脚本 キャロライン・トンプソン
原案 ティム・バートン
キャロライン・トンプソン
出演者
ジョニー・デップ
ウィノナ・ライダー
ダイアン・ウィースト
アンソニー・マイケル・ホール
キャシー・ベイカー
ヴィンセント・プライス
アラン・アーキン 他
評価
映像美
世界観
切なさ
ティム・バートン
「シザーハンズ」その魅力を解説
ティム・バートン監督の独特の世界観を語る上で決して欠かせない傑作、それが1990年全米で公開された
「シザーハンズ」(Edward Scissorhands)です。
公開当初は批評家から高い評価を得たものの、興行収入では爆発的なヒットとは言えませんでしたが、後にビデオやDVD、テレビ放送を通じてじわじわと人気を確立。現在では、ティム・バートン監督の最高傑作の一つとして、そして多くの映画ファンに愛される不朽の名作として語り継がれています。
なぜ「シザーハンズ」は、これほどまでに多くの人々を魅了し続けるのでしょうか?その魅力に迫ります。
(※物語の核心に触れるネタバレはありませんので、未見の方も安心してご覧いただけますよ)
ハサミの手の青年が踏み出す、美しくも切ない世界
物語は、不気味なほどに高くそびえるゴシック様式の屋敷から幕を開けます。

この世離れした静寂の中に、たった一人暮らしていたのは、哀しい瞳を持つ青年、エドワード(ジョニー・デップ)。彼は、孤独な発明家によって人間の心を与えられた人造人間でした。


手は完成していたが‥
しかし、完成を目前に発明家が息を引き取ってしまったため、エドワードの両手は、鋭利なハサミのまま残されてしまいます。

外界から隔絶された屋敷でひっそりと暮らしていたエドワードの存在は、ある日、たまたま訪れた化粧品のセールスレディ、ペグ(ダイアン・ウィースト)によって見つけられます。彼女の温かい心に触れたエドワードは、その手を取られ、色鮮やかな郊外の街へと連れ出されることに。


ペグの家にやってきたエドワードは、これまで彼が知ることのなかった「人間社会」に足を踏み入れます。画一的で、どこか滑稽なほどに定型化された郊外の街の人々は、彼にとって何もかもが新鮮で戸惑いの連続。しかし、その純粋な心と、ハサミの手に秘められた唯一無二の才能が、やがて街の人々の日常に、驚きと感動をもたらしていくのです。

エドワードのハサミの手から生み出される、息をのむほど美しい庭木の彫刻や、繊細で独創的なヘアカットは、瞬く間に街の評判となり、彼は「ハサミのアーティスト」として受け入れられていきます。


しかし、その「違い」が、やがて彼と街の人々の間に、思いもよらない波紋を広げていくことになります。


エドワードの優しさと、ハサミの手がもたらす奇跡は、果たしてこの奇妙で愛おしい街で、どのような運命をたどるのでしょうか?彼の純粋な心と、ハサミの手が織りなす、美しくも切ない物語を、ぜひあなたの目で確かめてみてください!
ティム・バートンが描く、奇妙で愛おしい世界
「シザーハンズ」最大の魅力は、まさにティム・バートン監督ならではの唯一無二の映像美と、そこに込められた深いテーマ性にあります。
- 視覚的な対比の美学
- エドワードが暮らす荒廃したゴシック様式の屋敷は、モノクロームで陰鬱な雰囲気です。
- 対照的に、彼が引き取られる郊外の街はパステルカラーで彩られ、人工的で均一な印象です。
- この鮮やかな色彩と雰囲気のコントラストが、エドワードの「異質さ」と、彼が画一的な社会に溶け込もうとする物語を際立たせています。
- 純粋さと社会の残酷さ
- ハサミの手を持ち、意図せず傷つけてしまう可能性を秘めながらも、エドワードは驚くほど純粋で心優しい存在。
- 彼のハサミから生まれる美しい庭木やヘアカットは人々を魅了しますが、その「違い」に対する好奇心は、やがて無理解や偏見、そして残酷さへと変化していきます。
- この展開は、社会における「異質なもの」への反応と、その悲しい現実を浮き彫りにします。
- ジョニー・デップの象徴的な演技
- エドワードは言葉数が少なく、その感情の多くを表情とハサミの手で表現します。
- ジョニー・デップは、その繊細で哀しげな演技で、エドワードの孤独、喜び、悲しみといった複雑な感情を見事に表現し、観る者の心に深く響きます。
- これは彼のキャリアの中でも特に印象深く、象徴的な役どころの一つです。
- 心に響く普遍的なテーマ
- この映画は、「違うこと」を受け入れる難しさ、「見た目」で判断される悲しみ、そして「本当の優しさ」とは何かを問いかけます。
- ファンタジーでありながら、多様性の受容や他者への理解といった現代社会にも通じる普遍的なテーマを深く掘り下げており、観る者に多くの示唆を与えます。
まとめ
「シザーハンズ」は、観る者に切なさと同時に、温かい感情や、誰かを理解しようとする気持ちを呼び起こさせます。独特のファンタジーでありながら、人間の本質に迫る深い物語は、観終わった後も長く心に残るはずです。
ティム・バートン監督のファンはもちろん、心に響くユニークな映画体験を求めている方には、ぜひ一度ご覧いただきたい作品です。エドワードの哀しい瞳と、ハサミの手が生み出す美しくも儚い世界は、きっとあなたの心にも深く刻まれることでしょう。
あなたも、エドワードの純粋な心と、彼が織りなす切なくも美しい物語に触れてみませんか?
絶対お勧めな作品です!
鑑賞した人の感想

すっごく切なくて胸が痛くなったけど、後味よくてみてよかったなぁと思いました( ^ω^ )

私にとってジョニーデップの映画といえばコレ! 何回も観てしまう、せつないファンタジー。

思わず泣いてしまった。どこが胸に響くか、それは人それぞれだと思います。自分は間違いだらけの刑務所という地獄の中で、それでも主人公が「希望」を持って生きていった姿を見て心を打たれました。素晴らしい。

見終わった後は切ない気持ちになるけど何処か心を暖かくしてくれる作品。
ティムバートン×ジョニーデップの名コンビの最初にして最高の映画だと思う

こんなに素晴らしいティムバートンが奇才と言われるわけ。本当に切ないし、優しいし、悔しい。迫害や愛がティムバートンらしく表現されてるとおもった!本当に素敵な映画です。作品を今まで見てなかったと思うと…(T_T)

切なすぎる。
ジョニーデップが好きになったのもこの映画から。
ティムバートンは最高
Filmarksに寄せられた感想の一部です

まちがいなく ティム、ジョニデの最高傑作!