前回は主にゲームプランナーになるための道筋を解説しました。
今回は、実際のゲーム制作の中で、ゲームプランナーがどのように仕事に関わるのかを、ゲーム制作の流れとともに詳しく解説します。
これを読めば、ゲームプランナーの仕事と役割のイメージが具体的になり、想像とのギャップも回避できるので、ぜひ最後までお付き合いください!
まずはゲーム制作の工程を知りましょう
ゲーム制作は、多くの専門家が関わる複雑なプロセスです。
プロジェクトの開始から終わりまで、どのような流れで進むのかを見ていきましょう。
ゲーム制作は、大きく以下の段階で進行します。
- ① 企画立案
- どんなゲームを作るか、アイデアを出し、コンセプトを固める段階です。
- ② 仕様設
- 企画した内容を具体的に落とし込み、ゲームのルールやシステム、キャラクター、シナリオなどを詳細に設計します。
- ③ 開発
- 設計書に基づき、実際にゲームを制作する段階です。
プログラマーがプログラムを組み、デザイナーがグラフィックやキャラクターを作成します。
- 設計書に基づき、実際にゲームを制作する段階です。
- ④ デバッグ
- 完成したゲームにバグがないかをチェックし、修正します。
- ⑤ リリース・運用
- ゲームを世に出し、プレイヤーからのフィードバックを受けてアップデートやイベントを実施します。
ざっくりとですが、上の 1~5の段階でゲームの制作は進みます。
そしてゲームプランナーは全ての段階に深く関わる重要なポジションとなります。

ゲーム制作に関わる主な職種と役割
ゲーム制作には、以下のような様々な専門職が関わります。
- プロデューサー
- プロジェクト全体の責任者で、予算やスケジュールを管理し、事業としての成功を目指します。
- ディレクター
- ゲームの面白さやクオリティを統括する監督です。企画内容をまとめ、開発チームの方向性を決定します。
- プランナー
- 企画のアイデア出しから仕様書の作成、開発中の調整まで、ゲームの内容全般を考え、ディレクターや他のセクションと連携する役割を担います。
- デザイナー
- キャラクター、背景、UI(ユーザーインターフェース)など、ゲームの視覚的な部分を制作します。
- プログラマー
- ゲームのシステムや機能をプログラムで実装します。
- コンポーザー
- ゲーム内のBGMや効果音など、音響面を制作します。
- デバッガー
- 完成したゲームをプレイし、バグや不具合を見つけ出す専門家です。
- 広報
- ゲームの魅力を世間に伝え、プロモーション活動を行います。
このように、多くの専門職が協力してゲームは作られます。
その中でゲームプランナーは、ゲームの設計図を作る役割を担うのはもちろん
ゲーム制作のあらゆる段階で中心的な役割を担い、特にゲームの設計と開発チームの連携に深く関わる極めて重要な仕事なのです。

ゲーム制作の工程の中でゲームプランナーの仕事と役割りを知る
それでは実際にゲーム制作の工程を追いながら
各工程でゲームプランナーが具体的に何をするのかを見ていきましょう!
1. 企画立案


関わる職種 | プロデューサー、ディレクター、プランナー |
プランナーの仕事 | ◆市場調査やトレンド分析を行い、企画書に生かせるようにする。 ◆アイデアの面白さや実現可能性を検討し、企画書にまとめる。 ◆プロデューサーやディレクターに企画をプレゼンし、フィードバックを基に改良を加え 最終的な企画書を完成させる。 |
企画の題材は、プロデューサーやディレクターから指定されるのが一般的です。
これは企業の販売戦略に基づくため、ゲームプランナーはその意図を理解した上で企画書を作成する必要があります。
例えば、「特定の漫画やアニメを題材とし、ハードウェア独自の機能を活かした企画」といった指定があった場合、プランナーはその条件を満たしつつ、魅力的な企画書を作成することが求められます。
2. 仕様書作成


関わる職種 | ディレクター、プランナー、デザイナー、プログラマー、コンポーザー |
プランナーの仕事 | ◆企画書を元に、ゲームのルールやシステム、ストーリー、ステージ構成などを 詳細にまとめた仕様書を作成する。 ◆細かい設定をすべて言語化して盛り込む。 (例)キャラクターの能力やアイテムの効果、敵の動きなど。 ◆デザイナーやプログラマーと密に連携し、仕様が技術的に可能か? デザイン的に魅力的か?を調整した結果を盛り込む。 ◆音楽が密に関わる企画なら、特にコンポーザーとの企画意図の共有と 技術検証を行い、仕様書に盛り込む。 |
仕様書はゲームの設計図です。
この段階では、企画書の内容の具現化に向け、各職種の担当と細かな確認、調整を行いながら、企画意図を満たした仕様書としてまとめることがゲームプランナーの仕事となります。
多くのゲームプロジェクトでは、複数のプランナーがディレクターの監督のもと、それぞれ担当する箇所の仕様をまとめ、制作を進めていきます。
開発の初期段階では、スケジュールや開発チームの規模を考慮し、着手できる部分から優先的に仕様を固めていきます。
その後は、開発と並行して仕様書を完成させます。
※企画内容や開発状況により、仕様書の完全FIXのタイミングはプロジェクトごとに異なります。
又、一度作成した仕様書が必ずしもそのまま使われるわけではありません。
ゲーム開発中に問題点が見つかった場合、すぐに修正を行い、開発を停滞させないようにすることもゲームプランナーの重要な仕事です。
3. 開発


関わる職種 | ディレクター、プランナー、デザイナー、プログラマー、コンポーザー他 |
プランナーの仕事 | ◆開発中に発生する問題に対し、仕様書の変更や新しいルールの提案を行う。 ◆ツールや簡易プログラムによる※レベルデザインを行う。 ※レベルデザイン ゲームのステージやマップを設計し、プレイヤーの体験を左右する要素をデザインする仕事。 地形、敵の配置、アイテムの配置、仕掛けなど、ゲームの面白さや難易度を決定づけます。 ◆テストプレイを行い、仕様の整合性の確認や、ゲームの面白さやバランスをチェックし 修正、調整案を出す。 ◆デザイナーやプログラマー、その他からの質問や要望に対し、各所と調整を行い スムーズに開発が進むようプロジェクトをサポートする。 |
ゲーム開発は、主にプロデューサーとディレクターが管理するスケジュールに基づいて進行します。
開発期間は様々で、短いもので1年、長いものだと3年以上かかることもあります
(オンラインサービスや運営を伴う場合は、さらに長期にわたることも珍しくありません)
その期間中、ゲームプランナーの仕事は多岐にわたります。
基本的にはディレクターの意図に沿って業務を進めますが、スケジュールとゲーム制作を両立させるために、プランナーは複数の業務を同時並行でこなす必要があります。
・的確な仕様の策定
・各職種への効率的な作業配分
・トラブルへの対処
そして何よりも、作品を面白くすることです。
ゲームプランナーの仕事は、プロジェクトの規模によって分業で行われることもありますが、大勢で一つの作品を作り上げる上で、常にチーム内での密な情報共有が不可欠となります。
プロジェクト全体を停滞させないよう常に気を配る、縁の下の力持ち的な仕事とも言えます。
4. デバッグ(バグ発見→原因の特定→修正)


関わる職種 | 全ての職種、デバッガー他 |
プランナーの仕事 | ◆デバッガーと開発の間に入り、バグ修正の交通整理を行い、バグゼロを目指す。 ◆バグの再現性を確認しバグ修正のサポートを行う。 ◆レベルデザインが原因のバグ修正を行う。 ◆仕様と実装仕様が異なったときの調整を含む修正を行う。 |
この段階のデバッグは、主に外部の専門業者に委託されることがほとんどです。
バグの報告と修正の共有には、開発チームが指定したグループウェアが通常使われます。
デバッグを担当するゲームプランナーは、業者と開発チームの間に入り、報告されたバグが正しく修正されているかを確認し、バグの収束に努めます。
5. リリース・運用


関わる職種 | 全ての職種の主担当者、広報他 |
プランナーの仕事 | ◆完成したゲームを「PlayStation」や「Nintendo Switch」などでリリースするため、 プラットフォームホルダー(ソニー、任天堂など)が定める審査基準に沿っているかを確認し、審査通過までの申請業務を行う。 ※審査用に提出する資料の作成や、ゲームのデモプレイなどを作成することもあります。 ◆リリース後、追加コンテンツなどの計画があれば対応をする。 ◆リリース後にバグが見つかった場合、パッチ対応などの対応を行う。 |
この段階になると、基本的なゲーム開発は完了し、商品として売り出すための準備がメインとなります。
厳密には、これに先行して広報チームがタイトルの宣伝準備を進めています。
また、ゲームのパッケージデザインや印刷物の手配も、プランナーが主導して各所の承認を得ながら進めており、その全ての作業がこの段階で完了するイメージです。
リリース後はタイトルによって対応は様々です。
追加コンテンツなど特に計画がないものもあれば、長期に渡り運用を行うタイトルもあります。

いかがでしょう?
ゲームプランナーの仕事と役割りのイメージはつきましたか?
ゲームプランナーの業務は、企画からリリース後の運用まで多岐にわたります。
単にアイデアを出すだけでなく、仕様書作成、レベルデザイン、ゲームチューニングなどを通して、作品の面白さを追求します。
プランナーは、プロジェクト全体を円滑に進める「ハブ役」です。
ディレクターの意図を汲み取りつつ、各職種の意見を調整し、開発の進行をサポートします。
このように、ゲームプランナーは、チーム内の情報共有を促し、プロジェクト全体を停滞させないように気を配る、縁の下の力持ちとして不可欠な存在なのです。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございます!
この記事では、ゲームプランナーの仕事内容を、ゲーム制作の工程に沿って解説しました。
ゲームプランナーは、単にアイデアを出すだけでなく、そのアイデアを具体的な形にするための「設計者」であり、制作チーム全体をまとめる「調整役」でもあります。
今回の内容が、仕事のより具体的なイメージをつかむのに役立てば嬉しいです!
完成した企画書は、一般的に会社の上層部によって精査され、プロジェクトとして承認が下りることで、正式に開発がスタートします。
このプロセスは主にプロデューサーが進めるものであり、企画内容によっては承認されず、企画書の再検討が必要となるケースも少なくありません。